ベイビー、君は僕のもの
簡単にほどけた彼の手をすり抜け、今度はわたしの方から、ぎゅっと彼に抱きつく。



「かなちゃん、だいすき……だいすき、だよ……っ」



もう、ためらう理由なんてなかった。

溢れる涙にも構わず、ただかなちゃんの、1番近くにいたいと思う。

するとそれよりも強い力で、きつく抱きしめ返された。



「俺だって。だいすきだよ」



その声につられるように、顔をあげる。

至近距離でかなちゃんの瞳に映る、自分の姿に気づいたときには……もう、ふたりの唇は重なっていた。


──ねぇ、かなちゃん。わたしもかなちゃんがいれば、こわいものなんてないよ。

かなちゃんのためなら、なんだってできる自信があるよ。

どうすれば、全部伝えられるんだろう。

どうすれば、届いてくれるんだろう。


せめて、この気持ちが少しだけでも伝わるように。わたしはきゅっと、彼の胸元にすがりついた。
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