ベイビー、君は僕のもの
「あら月乃、もういいの?」

「うん、そろそろ出る。ごちそうさま」



食器をシンクに置いて、わたしはさっさと玄関に向かった。

かばんを肩にかけてローファーを履いていると、リビングからかなちゃんがやって来る。



「月乃、学校行くなら車で送ってく」

「はあ? かなちゃんこそ、学校は?」

「俺は今日、昼からだから」

「………」



飄々とうらやましいことを言ってのけるかなちゃんを、また無言でうらめしげに見つめて。

わたしは、はぁっとため息を吐いた。



「別に、送ってくれなくていいよ。そんなに時間かかるわけでもないんだし」

「けど、通勤ラッシュの電車なんて変態の魔窟だろ」

「どういうイメージよ……」



かなちゃんの言葉に呆れた視線を向けて、腰に手をあてる。



「ていうかね。かなちゃんに送ってもらうと、変に目立つから嫌なんだってば」

「別に俺、まわりの視線なんて気にしないし」

「かなちゃんじゃなくてわたしの話ですが……!」
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