ベイビー、君は僕のもの
何かが変わった日
けれども、転機というのは予想外なタイミングで訪れた。



「……え? 津川くんが、わたしを?」



呆然と呟くわたしに、目の前の津川くんは眩しいくらいの笑顔で頷いた。



「俺、ずっと紅林さんのこと気になってたんだ。だからもしよかったら、俺と付き合ってくれないかな」



彼、津川くんは同じ学年で。ちょっと悪い感じの雰囲気が、女子たちに人気があって。

そんな彼から放課後ベタに体育館裏に呼び出され、今の状況に至っている、わけだけど……。

え、ていうか、わたし今……。



「えっ、と、告白……?」

「うんまあ、そのつもりだけど」



簡単に返され、ボンッと一気に顔が熱くなった。

そんなわたしを見て、津川くんがくすくすと笑う。



「ははっ、紅林さん、顔真っ赤。かわいいね」

「なっ、かっかわ……っ?!」

「俺は、紅林さんのことかわいいと思うけど」



にっこり。八重歯を見せて笑う彼に、頭がクラクラしてきた。

か、かわいいって。今この人、わたしのことかわいいって……!
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