SS -ショート・ストーリー-
彼氏関係のことで彼女が泣いとることも
何度か … 幾度となくあった。
そんな時も俺は側に居って頭を撫でるだけ。
それ以上触れたら、止まらんくなる。
自分でも分かっとった。
せやから極力二人きりには
ならんように頑張った。
その頑張りも虚しく、今夜は彼女と
二人きりで帰宅中。
不幸なことに同じマンションで
部屋も隣同士。
これは、もう、嫌がらせか?なんや。
こっちは こないにも
ドキドキしとるっちゅーのに。
「彼にね、振られちゃった」
悲しそうに言う彼女を今すぐにでも
この手で抱き締めたかった。
そんな衝動に駆られるが必死で我慢する。
「良い男、なかなか見つかんない」
おるやん。
目の前に。
そんな言葉も言えん俺は弱虫や。