青い糸【完】
始まり、春
「ねえねえ、千田さん!このジュース飲む?」
「......」
「あ!千田さん!昨日のさ、10チャンみた!?マジ面白い番組やってたんだけどー」
「......」
「...千田ちゃぁーん、相手してよぉ~...」
「アホか!!」
「痛っ!優翔!」
佐伯は、本日5回目の怒声と、頭に強烈な痛みを味わった。
どうしてか、朝からずっと佐伯に話しかけられる。
それを無視し続けていて、今に至る。
『千田さん』から、
『千田ちゃん』、酷いときでは『ちぃちゃん』などと、たった2文字の苗字から沢山のあだ名が生まれた。