青い糸【完】
だけど、心の中ではまだ黒い気持ちが渦巻いていたんだ。
「......そんなワケない...っ」
「...」
震えた声で、あたしは本心を口に出した。
「そんなワケない!!それは...それは佐伯だからでしょ!?
あたしは変われない!どんなに人が傍にいてくれたって、変われないっ。
一歩を踏み出す勇気もない!」
「......」
「だってあたしにはなにもない!家族の愛情だって、優しさだって...
...なんにもわかんないんだもん......!」
「梨咲乃っ」
「お父さんが大好きだったのにっ、お父さんは、お母さんだけをちゃんと愛してたんだって信じてたのに...
“あの人”から真実を聞いて、もうなにもわかんなくなって......」
「......っ」
「人を信じることが出来なくなった...!今まで以上にっ」
「梨咲乃、聞け...」
「あたしだって怖い!!この先、どうなるかわかんないから怖いの!」