君のところへあと少し。
9
マンションに帰ると、日和の姿があった。
鍵を渡していたから、居ても不思議ではなかった、が。
この前のやや行き当たりばったり的な避妊拒否宣言から数日、お互いが妙な空気感を持っていたのは否めない。
「日和…」
「あ、おかえり、奏。今日の晩御飯ね、」
有無を言わせず抱きしめた。
居てくれた。ここに。俺の居場所に。
たまらなかった。
涙がでた。
バイオリンを捨てたって、日和だけは捨てられない。無理だ。
「話したい事が沢山あるんだ。」
「うん。」
「でもまず日和を補給したい。俺を愛して。」
「うん。」
何も聞かない、言わないのはもう薄々知っているのだろう。
ナリから聞いたのだろう。
「避妊、した方がいい?」
「しなくていいよ。奏の赤ちゃん、生みたいもん。絶対可愛い女の子がいい。」
悔しいけれど、日和の懐は奏が思っていたよりも深かった。
「日和…愛してる。」
「ん、知ってるよ。あたしも、奏が好き。愛してる。」
ぎゅうっと抱きしめられて暖かな温もりを感じて、この選択が間違ってなかったと誇りに思えた。
鍵を渡していたから、居ても不思議ではなかった、が。
この前のやや行き当たりばったり的な避妊拒否宣言から数日、お互いが妙な空気感を持っていたのは否めない。
「日和…」
「あ、おかえり、奏。今日の晩御飯ね、」
有無を言わせず抱きしめた。
居てくれた。ここに。俺の居場所に。
たまらなかった。
涙がでた。
バイオリンを捨てたって、日和だけは捨てられない。無理だ。
「話したい事が沢山あるんだ。」
「うん。」
「でもまず日和を補給したい。俺を愛して。」
「うん。」
何も聞かない、言わないのはもう薄々知っているのだろう。
ナリから聞いたのだろう。
「避妊、した方がいい?」
「しなくていいよ。奏の赤ちゃん、生みたいもん。絶対可愛い女の子がいい。」
悔しいけれど、日和の懐は奏が思っていたよりも深かった。
「日和…愛してる。」
「ん、知ってるよ。あたしも、奏が好き。愛してる。」
ぎゅうっと抱きしめられて暖かな温もりを感じて、この選択が間違ってなかったと誇りに思えた。