スロウダンス

砂浜で

「うわぁぁぁーっ!」

雄叫びで目が覚めた。

自分の部屋の古びた天井を暫し見つめる・・・。

(な、なんていう夢を・・・)

1月なのに寝汗をかく始末。

今日は日曜日。相良部長と話したのは一昨日になる。

取り敢えず、アシスタントの件は来週まで回答を待ってもらう事にした。

あんな夢を見るなんて、私の中の相良部長へ感じている潜在意識なのだろうか?

時計を見ると、もう11時になっていた。ゆっくり起き上がって、部屋にある備え付けの洗面所で顔を洗う。

もともと2間を1つにしたこの部屋は、昔は祖父が写真を現像する為の暗室にしていた名残があって、少し変な作りになっている。

我が家の1階は、喫茶店兼住居で、1階の和室に祖母が、2階の階段を登ってすぐ右が私、向かいが母の部屋になっている。

土日の朝は大体、お店で朝食を取っている。常連客は、主に近隣の人達。

特に気を遣うワケではないが、さすがに酷い格好では出られないから、ボーダーのトレーナーとカーゴパンツに着替えた。

階段を降りると、お店側から母の興奮した笑い声が聞こえる。

「智ちゃん、随分ゆっくりだったねぇ、疲れてたのかい?」

「お祖母ちゃん、おはよう~。お店随分盛り上がってるね?何で?」

「ほら、前に言ってた柴犬の子犬がいるのよ~。すごく可愛いよぉ。ほら、昔飼ってたコロに似てる気がする。」

「えっ!見てみたい!」

(柴犬赤ちゃん♪)

お店に続くガラス扉に手をかけた。


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