夏の日
ぜろ。
まぶしくて、暑くて、むしむしで。
夏なんて、大嫌い。
でも、夏休みは大好き。
今日もすごく暑い日のこと。
「るーいー。ダラダラしてないで、なにかしたら?」
いつものことのように、お母さんがダラダラしている私に話しかける。私のいるリビングで掃除機をかけながら。
「えー。あついし、めんどいー。
夏休みは学生の宝だよ!ダラダラするためにあるものなのー。それを無駄にするなんてあり得なーい!」
「なにいってるの。普段忙しい学生が、何か活動するためにある休みでしょ。バイトか何かしなさいな」
「えー。聞こえなーい」
「はぁ……。るい、これに行きなさい」
お母さんが掃除機のスイッチをきり、地方新聞を私に見せる。
「なにこれ?」
「ボランティア活動よ」
「ボランティア?やだよー」
あの、無料で地域にご奉仕する?
そんな得にならないようなもの、だれがやるんだろう。
「るいの家での怠け様をみて考えたわ。
あなたはここに行って、少し社会の役に立ちなさい」
「えー、やだよー。ボランティアなんて。しかも山奥じゃん?携帯電波届かなくない?」
新聞の募集には、私の最寄り駅から1時間半はかかる山奥の無人駅の名前が載っている。