恋花火~あの日、言えなかったコトバ~
「お待たせ、どうかな?似合ってる?」

「すごい綺麗だよ、カナ。見れてすげー嬉しい」

良かった。…サヤカならもっと似合ってただろうな。絶対ナオキくんには見せたくないけど。


それから二人で晩御飯を食べて、
夜景を見てからあたしたちが帰路についた後、お母さんから今日は帰れないってメールが来た。

「お母さん、今日は帰れないって」

「マジで?お仕事大変そうだな」

「ねぇ…今日どうする?」
勇気を出してあたしから一歩踏み出す。
これ以上は恥ずかしくて言い出せないから、気づいてよね…

「じゃ泊まる!って言いたいとこだけどやめとくよ。親御さんのいない間にこっそり…って何か違うと思うし。まあ終電ギリギリまでは一緒にいるから」

「うん…」

「今日じゃなくてもこの先いくらでもチャンスあるだろ?
それに俺、カナの事大事にしていきたいって思ってるから」

キュンとした。この人は時々変化球に紛れて本気の直球を投げてくるから、その度にあたしはドキドキさせられてしまう。

「じゃあ腕枕してくれる?ナオキくんが帰るまで」
「いいよ。腕抜く時起こしそうだけど」

約束通りナオキくんは腕枕をしてくれた。
帰り際に起きちゃったのを寝たふりして目をつぶってたら、
ナオキくんはそっとあたしにキスをして静かに帰っていっちゃった。

お姫様は王子様のキスで目を覚ますって本当だね。
この日のあたしは順番が逆だったけど…
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