恋花火~あの日、言えなかったコトバ~
「すいません、しばらく2人きりにさせてくれませんか?」

カナのお母さんに声を掛ける。

俺の気持ちを察してくれたのか

おばさんやサヤカちゃん達がうなずいて

静かに病室を出ていく。

ベッドの横に椅子を引き寄せ、
俺はカナにゆっくりと話し掛けた。

「手紙読んだよ。海…連れていけなくてごめんな。

内緒にしてたけど、クリスマスの予約も取れたばっかだったんだぞ。

ただでさえ寒い季節なのに、1人で行かせて余計サムい思いさせる気かよ?」

そう言ってカナの頬をつつく。

真っ白になったカナの身体は

思っていた以上に冷たかった。

「俺、口下手だから

もう2度と言わねえから

しっかり聞いとけよ。


…俺も宇宙で1番、カナの
事が大好きだ」


ゆっくりと立ち上がり、俺は

病室のドアに手を掛けた。
「さよなら、カナ」
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