恋花火~あの日、言えなかったコトバ~
「サヤカ、言い過ぎだよぉ、カナマジで困ってたよ」
「あれくらい言わないとダメだよ。カナああ見えて人一倍淋しがり屋なのに意地っ張りなんだから」

「それはわかるけどー、でもうちらも人の世話焼いてる場合じゃないよね」

『彼氏かぁ…』サヤカとマイが同時につぶやく。


「ただいま…」

誰もいない家の中に向かって小さく声を掛ける。この時間、誰も家にいないのは日常茶飯事だった。

自分の部屋に入り、電気も点けずベッドに横になる。枕元のぬいぐるみを手に引き寄せながら、あたしはつぶやいた。

「ホントは…淋しいよ、淋しいんだよ…」

思わず頬を伝った涙を隠すようにぬいぐるみを顔に押し当てる。心なしか、ぬいぐるみがあたしにそっと微笑んでるような、そんな気がした…
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