嘘と煙草と君とチョコレート
weekend
「この服失敗したわ・・・」

私はダウンジャケットを脱ぎ捨てた。

2004年3月、この日は記録的な暑さとなった。

じっとしているだけで背中に汗が伝う。

逃げるようにして地下のショッビング街へと駆け込んだけれど、
吹き出した汗は一向に止まる気配はない。

買ったばかりのセーターは生地が柔らかくて、
腕捲りをしてもすぐに手首を覆い隠してしまう。

「もうっ!!」

苛立ちを隠せないまま、カラカラに渇いた口を開いた。
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