嘘と煙草と君とチョコレート
常連のお客さんから保冷剤のようなものを貰って、
嬉しそうに首筋にあてがっている。
その光景が微笑ましくてずっと見ていると、
ふと目が合った。

笑いながら手招きをしている。

「何ぃ?」

傍へ行くと、保冷剤を私の首にピタッとつけた。

「ひょえっっ!!」

例えるなら、
熱々のおでんを食べた直後にかき氷を頬張った感じ。

急激な熱から冷の変化に、
体が一瞬強張った。

「冷たいでしょ?」

「・・・うん。気持ちいい。」

一気に体の熱は冷めたけど、
林さんがずっと隣にいるせいで顔だけが熱い。
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