嘘と煙草と君とチョコレート
ライブが終わり優希と話していると、
近くを通りかかった林さんと目が合った。

それを見た優希の顔が悪戯っ子に変わる。


「林さーん!!」

大きな声で林さんを呼び、手招きをした。

「ちょっと、優希!!」

優希の右手を押さえて目で訴えかけるが、
林さんはもう目の前にいた。

「何?」

「いや、別に〜。」

笑いながらそう言うと、
優希はどこかへ行ってしまった。

急に二人きりにされても、
何を話せばいいか分からない。

とりあえず近くにあったベンチに腰掛けると、
林さんも隣に座った。


沈黙が流れる。

私はベンチに両足を乗せ、膝を抱えたまま俯いた。
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