嘘と煙草と君とチョコレート
「ごめん忘れてた。
忙しくて・・・」

予想していた通りの答えの筈なのに、
胸がズキンと痛んだ。

「ごめんね。怒ってる?」

林さんは私の顔を覗き込みながら、
優しい声で尋ねた。

ここで駄々をこねちゃいけない。

「・・・別に。」

今にも喉から溢れ出しそうな言葉をこらえ、
林さんから目をそらした。


「ヨシ!!」

遠くで利光さんの呼ぶ声がする。

「後でね。」

そう言いながら私に背を向け、
林さんは歩き出した。
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