嘘と煙草と君とチョコレート
さっきよりも強く膝を抱えながらケータイを見ると、
9時を回っていた。

・・・まだ帰りたくない。

優希も同じ考えのようで、
どこからともなくやってきて私の隣に腰掛けた。

すると、香苗さんが手を大きく振りながら小走りで近づいてきた。


香苗さんは私達の1コ上で、
すごく綺麗な人。

私達みたいに特定のメンバーが好きというより、
SHIBAの作る曲が好きなんだ、
と前に言っていた。

「林さん達、
レコーディングまで時間あるからまだ残っててくれるって。
上でたむろってるけど、来る?」

「行く!!」

大きな声で言った優希と、
とりあえず頷いた私。



香苗さんに連れられてエスカレーターへと向かう途中、
少し離れた所に林さんが立っていた。
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