嘘と煙草と君とチョコレート
ケータイを閉じてベンチで待つ林さんのもとへ向かうと、
林さんは誰かに電話をかけていた。

それに気付いた私は
回れ右して公園を出た。

しばらく大きな背中を見つめていると、
林さんは急に振り返った。

「あ、ごめんね。」

ケータイを閉じながらそう言うと、
林さんは手招きをした。

・・・したくせに、自分もこっちへ歩いてくる。

私が隣に来た事を確認すると、林さんは小さく息を吐いた。


「俺、今から利光のとこ行ってくるわ。」

「・・・うん。」

「じゃあ、帰ろっか?」

「・・・うん。」


帰り道はなんだか気まずくて、
一言も話す事ができなかった。
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