嘘と煙草と君とチョコレート
きっと林さんは疲れていて、
早く家に帰ってゆっくりしたいんだろう。

バイトやらライブやらで遊ぶ暇もないと言っていたのに、
こうして私の相手をしてくれている。


だからこれ以上、我儘を言ってはいけない。

私は小さな声で
「ありがとう。」と言った。勿論、自分でも聞こえない位の小さな小さな声で。


「さ、着いたよ。」

そう言われて顔を上げると、
そこは[林]と書かれた表札のある一軒家だった。
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