嘘と煙草と君とチョコレート
そう言って指差したのは、
目と鼻の先にあるアパート。

歩いて2分位で着く距離だ。


「これ・・・
一人暮らしする意味あるの?」

半笑いの私を見て、
林さんは笑いながら歩き出した。

私も後を追う。

「いや、色々便利・・・だよ?」

「何それっ!!」



街頭がポツポツと建っているだけの夜道を歩く。

今にも肩が触れそうな距離だけど、
私はそんなに緊張していなかった。

車の中という密室から解放されて、
ずっと鳴り騒いでいた心臓がやっと落ち着き始めていたから。
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