嘘と煙草と君とチョコレート
下を向いて一つ溜め息を吐くと、
左右の視界から林さんの手が伸びてきた。

それが私の首の前でクロスして・・・


グイッ・・・


え?私、抱き締められてる?


そう理解した時にはもう、
林さんの胸へと倒れ込んでいた。


一瞬にして林さんの香りに包まれる。

この部屋に入った瞬間とはまるで比べものにならない、
爪先から頭の天辺まで
私の全てを包み込んでしまうような甘い甘い香り。

この香りに支配されそう。
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