嘘と煙草と君とチョコレート
いつまで経っても顔の熱が冷めないので、
少し離れた所から
林さんの事を見ていた。

お客さんと話をしたり、
道行く人にアンケート用紙を配ったり・・・


・・・あれ?
林さん、演奏してない。


よく見ると、ドラムセットすらなかった。

ヴォーカルの利光さんだけが、
マイクも使わずギター一本で歌っている。

疑問に思った私は、
林さんのもとへ走った。

腕組みをしたまま
利光さんをじっと見ていたので、
背中をツンとつついてみた。

「おぉ、女子高生!!
何?」


・・・名前は覚えてないんかい!!

そんな事を思いながら、
何で利光さんしか演奏しないのかを聞いてみた。

「・・・あぁ、これは"流し"って言って、
お客さんのリクエストに応えたり
利光が好きな曲を勝手に弾き語るかんじ。」
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