嘘と煙草と君とチョコレート
お互い何も言わないまま、
あっという間に駅まで着いた。


昨日、車の中で林さんは言った。

「明日、さくらちゃん家まで送ってこうか?
朝早起きしなかんけど大丈夫?」

少し迷ったけど、
私は駅まででいいと言った。


あの時の私は確か、幸せの絶頂にいた。

それが今ではどうだろう。

話しをする事も、
林さんの顔を見る事すらできない。

どうしてこんな事になったの?



駅のロータリーに車を止めると、
林さんはシートベルトを外して深く溜め息を吐いた。

私もつられてシートベルトを外した。

沈黙が流れる。
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