嘘と煙草と君とチョコレート
もう一度小さく溜め息を吐いた時、
割れんばかりの歓声と拍手が聞こえて私は辺りを見回した。

「この上から聞こえる・・・。ねぇ、なんだろ。」

私は地上へと続く階段を見上げた。

「んー?なんかイベントでもやってんじゃないの?」

・・・イベント?

もしかしたら、芸能人とかに会える!?

「私、見に行きたい!!」

私は来の袖をグイグイ引っ張って、必死に目で訴えた。

「もぉ、仕方ないな〜。ちょっとだけだよ?」

来はわざと口を尖らせながらそう言って、
はにかんだ笑顔を見せた。

実は友達想いの来に満面の笑みを見せてから、
私は熱を帯びたガラスの扉に手をかけた。


重い扉を開けると、そこはまるでサウナ。


生温い空気が肺へと急激に入り込み、反動で少しむせかえった。

「やばい・・・暑い・・・」

重い足取りで目の前の階段を一段ずつ登っていくと、
さっきの何十倍ともいえる大きな歓声と拍手が聞こえた。


「次でラストです!!聴いて下さい!!」


マイク越しの声が鼓膜を揺らす。

私達はステージ横の階段に腰掛けて、
ステージを覗き込んだ。
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