嘘と煙草と君とチョコレート
味のないクレープをほおばっていると、
目の前に見覚えのある人が立っていた。

「あ〜っ!!利光さんだ!!」

腕組みをしてボーっとしていたのは、
ヴォーカルの利光さんだった。

優希の目が変わる。

「眼鏡しとるっ!!やばいっ!!」

優希は私の腕に自分の腕を絡め、
突然走り出した。

「おはようございます!!
うちらの事分かりますかっ!?」

利光さんとは、前回のストリートライブで話をした。


・・・といっても、
「どこから来たの?」

「俺等の事、何で知ったの?」

という質問に答えた位。


「あーおはよう。覚えとるよ。
てか、来るの早くね?」

林さんとは対照的で、
どこかそっけない。

そんな事を思う私の横で、
優希は目をキラキラさせていた。

「じゃ、俺行くから。」

そう言って利光さんは、手をヒラヒラさせながら、
ステージへと歩いて行ってしまった。
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