嘘と煙草と君とチョコレート
私は自分のGジャンの襟を摘みながら聞いた。

「あ、これ?
わざと、わざと!!」

そう言って林さんは
倒れかけた襟をまたピンと立てた。


「でも妹にさ〜、
"お兄ちゃん、それダサいからやめて!!"
とか言われてさ〜。
そんなにおかしい?


「ん〜、全然おかし・・・くないよ?」

私はわざと微妙な顔をしてみせた。

「なんだそれ〜!!
その顔はおかしいって思っとるだろ〜!!」

肩をトンっと小突かれて、
その部分だけすごく熱く感じた。
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