嘘と煙草と君とチョコレート
「ねぇ来!!私、あの人好き!!」

来の肩を両手で掴み、激しく揺さぶった。

「ちょっと!!声でかいって!!
分かったから〜!!」

よほど興奮していたのか、
同じように彼等を見ていた人達が
驚いた顔で私を見ていた。

そんな事お構いなしの私とは反対に、
来は顔を真っ赤にして恥ずかしそうに慌てふためいている。

ひとしきり来に彼への気持ちを語りふとステージに視線を戻すと、
さっきの彼はいなかった。


「あれ!?おらんし!!どこ行った!?」

慌てる私を横目に、
来はステージと真向かいの人だかりを指さした。

「あそこじゃない?」

見るとさっきの彼が高く手を挙げて、
満面の笑みで人を集めている。

「ちょっと!!
終わっとんならそう言ってよ〜!!」

急いで階段から立ち上がり、
来の腕を引っ張って彼のもとへとズンズン歩いていった。

「教えたのに聞いとらんかったのはどこの誰!?
てかさぁ、そんなに好きなら一緒に写メでも撮ってもらえば?」
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