嘘と煙草と君とチョコレート
「女の人だよ。
タカコっていうんだけど、利光の地元のツレ。」

「ふぅーん。
・・・彼女だったり?」

私のおかしな質問に、
林さんは案の定不思議そうな顔をした。

「・・・誰の?」

「・・・林さんの。」

ちゃんと冗談っぽく聞こえただろうか。


「違うよ、俺彼女おらんもん。」


それを聞いた瞬間、
私の思考回路は停止した。

初めから、彼女がいない訳ないと思ってた。

例えいなかったとしても、
こういう質問には曖昧に、答えを濁すはずなのに。

「・・・本当に!?」

「本当だよ。」

林さんは笑いながらそう言うと、
どこかへ行ってしまった。
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