嘘と煙草と君とチョコレート
私はその場から動けずにいた。

林さんに彼女がいないなんて、
とても信じられなかった。

でも前に、林さんは言っていた。


「俺、冗談は言うけど、
嘘は絶対言わんよ。」


そう言っていた林さんの真剣な顔を思い出して、
顔が爆発しそうな位熱くなった。

こんな真っ赤な顔を見られたら、
またからかわれるに違いない。

さっき真くんからもらったアンケート用紙で顔を扇いで
少し落ち着いてから林さんを探すと、
優希と喋っている。

すごく楽しそうに見えた。

相手は優希なのに
一瞬やきもちをやきそうになった自分が恥ずかしくて、
とっさに目をそらした。
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