嘘と煙草と君とチョコレート
「テスト終わったんでしょ?
もうすぐ夏休みじゃん。」

「・・・うん。」

顔が近すぎてうまく喋れない。


「あのさ、
・・・本当に彼女おらんの?」

言った後に後悔した。

同じ事を何度も聞かれたらウザいにきまってる。

頭では分かってるのに、
思った事をすぐ口にしてしまう自分に嫌気がさす。


「おらんよ。」

ゆっくり顔を上げると、
いつになく真剣な目をしている。

「・・・はい。」

そう言って小さく頷くと、
林さんは笑った。

「じゃあね。」

「-----!?」


・・・何、これ!?


大きな掌で頭を撫でられていた。

強引すぎず、優しすぎない強さで。

びっくりして林さんを見ると少し笑って
「じゃあね。」
と言い、帰ってしまった。
< 99 / 380 >

この作品をシェア

pagetop