東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
私は成宮さんと共に自動車を下りて、歩いて病院へと向かった。



ひしめき合う人の波へと身を投じていく。



「…椿さん…手を繋ぎましょう」



「え、あ…はい」



成宮さんは波に流されそうになる私の右手を握って来た。


征史さんと同じで大きく広い手。


小さな私の手を包み込んだ。



不安の塊に蝕まれていた胸が少しだけ落ち着きを戻す。

「御堂は助かりますよ…」



成宮さんの声が更に私を安堵に導いた。



「私もそう願っています…」




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