東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》

ー征史sideー

最後に死を覚悟した時、呟いたのはお前の名前だ…椿。



俺を死の淵から救い上げたのかお前の存在だ。



「くそっ」



椿に投げつけられた手拭を床に向かって叩きつける。



小笠原が俺にそっと教えてくれた。



俺の目覚めを阻んだのは『陰陽庁』の庁官・赤星信彦(アカホシノブヒコ)の呪詛だと。



赤星庁官は最古の奈良の葛城系の陰陽師・赤星一族の末裔。


『土御門家』を裏切り者にして粛清したのは赤星一族だと言ってた。

俺の一族は赤星一族の罠に嵌められたーーー・・・

そして今…現・赤星一族の当主・赤星庁官は俺の命を狙ってると告げた。













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