東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
成宮は何も言わず部屋の隅に立てかけられた『土御門家』の当主が継承する封印刀『村征(ムラマサ)』を手にする。



「…千秋楽の『オペラ座の怪』は帝様と后様もご鑑賞される。その時に…妖が現れる…小笠原少将や安倍大将ではなく貴様が『土御門家』の陰陽師として封印しろ」



「俺には陰陽師としての力なんて…ないぞ!」



「…これを持てば分かる…貴様は気づいていないが…貴様には陰陽師としての力がある。このままでは、椿さんにも…赤星一族の魔の手が伸びる」




「おいっ!?成宮…貴様いったい…何者だ?」




「…それは訊かないでくれ。貴様とはもう少し一緒に居たいんだ…御堂」



「…」




「貴様だって椿さんを本当は愛してるんだろ?」



「俺は軍人だ…」



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