東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
「千愛ちゃん…久しぶり…」



「久しぶりです。海里いや御堂さん」



「海里でいいよ…人気女優の千愛ちゃんに名前を呼び捨てられるなんて光栄だよ」



海里の笑顔は12年前と変わりなかった。


芸能界入りに悩んでいた私の後押ししてくれたのは海里だった。

「海里の言葉がなければ…今の私は居なかった。感謝しています」


「…今の俺がいるのは君の父親の栗原さんのおかげだ。俺の方こそ…感謝してるよ」



「ねぇ…海里…あのう…少しだけ来て…二人でお話がしたい」



「また…悩み事?」



「…うん。まぁ…」


「いいけど…おいで」



海里が私をパーティ会場から連れ出してくれた。


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