東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
海里は最上階にある小さな展望BARにエスコート。



「サングラス…着けろ」


海里はジャケットのポケットに引っかけていたサングラスを貸してくれた。


「ありがとう…」


私は海里から借りたサングラスを着けて、素顔を隠した。



硝子越しに寄り添うように置かれたテーブルのスツールに並んで座り、東京の夜景を眺めながら…カクテルで乾杯した。



「…君は奥様の杏里さんに似てるね…それよりも相談って何?」



「…別に何もない。唯、海里と二人でゆっくりと話がしたくて…」



「・・・」


海里は何も言わず、カクテルを口にする。



「私…海里が今も…好きなの」

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