東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
「…この笛で…霊や妖を操るらしい」



「俺は何も訊いていない」



「…『土御門家』を滅ぼした『赤星家』はこの『玉依り』の力を欲しがっていた」



「どうして?」



「すべては帝様の為…戦争に勝つ為だ…」



「戦争だと!?戦争に神の力を使ったのか!?」


「…使おうと企てたが…お前は拒否した。多分…俺がこうして教えたからだと思う…お前は…『玉依り』の力を護るために…家族を犠牲にした」




「!!?」



「…1931年…満州事変を皮切りに…1937年日中戦争、そして1941年…真珠湾攻撃…第二次世界大戦と続く…強国アメリカを相手にこの国は戦っていく…お国の為、帝様の為に命を捧げる為に、若者がどんどんと戦地へと送られていく…」



「…俺には何も分からない…」



「…そうだな…俺の部屋に行けば…あるさ。お前の知らない血に塗られたこの国の歴史の数々が・・・」


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