東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
「…冗談じゃないさ…」



「・・・」


満州かーーー・・・


当時の中国は長らく列強に奪われ続けた自国の権益を奪い返す『国権回復運動』が盛んにおこなわれるようになった。


この手の運動が過激化していき、日本を含めた諸国の既得権益に対する脅威となっていった。




そんな中で起こった『満州事変』


一人の大尉の殺害をきっかけに、


元は下っ端に『関東軍』の若い陸軍将校たちが南満州線路上で爆発を起こした。
爆発は小規模だったが…
それを中国軍の仕業とし、本陣営を攻め込み、武力で制圧。

そこに至るまでの経緯も詳しく書き記されていた。

現地の司令官にも相談せずに若い将校たちの単独で行われた犯行に震撼した。

軍部では絶対とされていた上下関係が完全に崩壊している。



中国の『国権回復運動』に程々手を焼いていた他国も同情的だったが…


『関東軍』の統帥権と国民の世論の支持を背景に、政府の国際公約を無視した形での占領地拡大が…日本の国際連盟の脱退、世界での孤立化を深めていった。






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