東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
3幕 椿ノ花
-椿sideー
「すまなかった」
彼は素直に謝罪の意を示した。
眩い光が溢れる大広間を出て、中庭に出た。
噴水の水音を訊き流しながら、ぼんやりと浮かぶ白い半月と無数の小さな星の輝きを見つめる。
「…ここでしたか…柾史様」
「…通(トオル)か」
「あ…椿様もご一緒でしたか…申し訳ございません!」
「…いえ…」
「彼は中井通…俺専属の使用人で同じ陸軍の兵士だ」
「初めまして…」
「初めまして…」
「帰るぞ…」
「よろしいのですか?」
「俺も忙しい。貴様も俺がどのような男か理解しただろ?俺は軍人だ。横暴で野蛮な男だ…あの男の言う通り…父上の噂の払拭の為に貴様との結婚を推し進めた」
「中尉…」
「貴様は俺には抗えぬ。俺は貴様を離す気ない。行くぞ…通」
彼の靴音が遠ざかって行った。
確かに東さんの言葉通り…中尉は横暴で野蛮だ…
でも、彼の存在が私の心の中に大きな波紋を起こした。
彼は素直に謝罪の意を示した。
眩い光が溢れる大広間を出て、中庭に出た。
噴水の水音を訊き流しながら、ぼんやりと浮かぶ白い半月と無数の小さな星の輝きを見つめる。
「…ここでしたか…柾史様」
「…通(トオル)か」
「あ…椿様もご一緒でしたか…申し訳ございません!」
「…いえ…」
「彼は中井通…俺専属の使用人で同じ陸軍の兵士だ」
「初めまして…」
「初めまして…」
「帰るぞ…」
「よろしいのですか?」
「俺も忙しい。貴様も俺がどのような男か理解しただろ?俺は軍人だ。横暴で野蛮な男だ…あの男の言う通り…父上の噂の払拭の為に貴様との結婚を推し進めた」
「中尉…」
「貴様は俺には抗えぬ。俺は貴様を離す気ない。行くぞ…通」
彼の靴音が遠ざかって行った。
確かに東さんの言葉通り…中尉は横暴で野蛮だ…
でも、彼の存在が私の心の中に大きな波紋を起こした。