東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
「俺はこの世界に驚かされてばかりだ…でも…何かが欠けている…」



「…征史お前は色んな事を知り…戸惑ってるんだな…悪かった…今夜は遅い…寝ろ」



「…海里…貴様は何をしている?」



「んっ?」


「…千愛さんは貴様の事を…千愛さんは貴様の事を愛してる…何故…その彼女の想いに応えようとしない?」



俺は海里の胸ぐらを掴んだ。



「…元々…俺たちは政略結婚だった…俺には結婚の意志はなかった。陰陽の世界で裏切り者とされた一族『土御門家』の血を引き、戦地に行けば…死ぬかもしれない軍人の身…愛する人を不幸にするだけ、悲しませるだけ…現に…俺の為に椿は殺されてしまう…」


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