東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
「・・・」



電話越しに訊く彼女の声まで椿に似ていた。


千愛さんは椿じゃないとずっと心の中で何度も言い訊かせ…理性を振り絞り、必死に彼女の存在を排除し続けた。



でも、彼女は転生した椿。



「…お前の声が訊きたかった…」



ーーー征史…さん?



俺は言うべき台詞ではない。


海里が言えばいいのに…


海里は頑なに自分を想う千愛さんを拒む。


海里は前世の不幸な呪縛から抜け切れていない。



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