東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
千愛さんは人格が変わったかのように…粗っぽいハンドルさばきを見せ始めた。



「顔が真っ青よ…征史さん」


道中…サービスエリアという休憩所に立ち寄った。


「いや…俺の世界に存在する自動車よりも速いので…戸惑ってるだけだ。まるで機関車ようだったぞ」



「…高速だからね…ある程度はスピードがいるのよ」


「高速か…一つ…また一つ…良い言葉を憶えた」



「…94年前の世界って…私も一度行ってみたいわ…」


「・・・」


二人で椅子に座り、珈琲を啜った。

< 219 / 300 >

この作品をシェア

pagetop