東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
海里は千愛さんを抱き締める。



「俺の出番はないようだな…」



元はと言えば…栗原中尉の提案なんだが、彼の出番はなかった。



「貴方は?」



「…俺は彼女の父親の前世の者だ…」



「貴方がセラフ様!?」



海里は突然、栗原中尉に跪いた。




「アリエル…顔を上げろ…俺は今の時代にはいない天使だ…崇める必要はない…俺は御堂少佐と共に元の世界に帰る…だから…千愛を頼む…」




「セラフ様のご命令とあれば…謹んでお受け致します…」



「・・・」

俺の言葉は全く訊き入れなかったのに。海里の豹変に呆れてしまった。









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