東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
「…御堂少佐…帰るぞ…」



「…はい」



海里と千愛さんの事はまだまだ、気がかりだが…早く…椿の元に戻りたかった。



セラフの姿となった栗原中尉の手には大鎌。



チェーン付の眼鏡越しに映る二人の仲睦まじい姿を安堵した目で見つめる。



千愛さんと過ごした昨日の夜は泡沫の夢かもしれない…


この世界自体が夢なのかもしれないーーー・・・




俺の知った近未来に起こり得る出来事も数々も夢であって欲しい切に願った…


「…千愛さん…お元気で…」


「征史さん…貴方には迷惑お掛けしました…」



「俺は迷惑だとは思っていません…」


後ろ髪を引かれる思いを断ち切り、俺たちは元の世界に戻った…


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