東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》

ー征史sideー

椎名が『警備庁』の騎馬隊に加わり、1ヵ月が流れた。


帝様の護衛にあたるのは『警備庁』の役目で
『陰陽庁』と同じで軍人のように階級が存在していた。



「…樋川…」



「何ですか?御堂少佐」


「…あれから栗原中尉の動きはどうなんだ?」


「別に何も…彼も忙しいんでしょう」


「…」


『陰陽庁』勤務に慣れたが…妖退治がなければ暇を持て余す毎日。



樋川の事務仕事の邪魔は出来ず…俺は庁舎の外に出た。



「…『陰陽庁』は暇そうだな…」


偶然…巡回の椎名大佐に出くわした。


さすがは椎名財閥の縁の者。

出世も早いーーー・・・



「…隻眼でちゃんと見えてるのか?」


緑色の瞳を皮の眼帯で隠して…白馬に跨り、帝居内の巡回する椎名大佐。


見ている俺の方が心配になった。






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