東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》

ー征史sideー

翌年、5月5日。



俺と椿の第一子となる男児・響生(ヒビキ)が誕生した。


次期後継者となる男児誕生に御堂家は喜びに包まれたが、父が病に倒れ、陸相を退陣。



俺は仕事の合間を縫い、父の入院する第一陸軍病院を訪ねる。



「…御堂少佐…」



父の病室から出て来た栗原中尉を顔を合わせた。




「父の容体は?」



「御堂元陸相の容体ですか…今は安定しています…」



「そうか…それならよい…」



「もうすぐ…満州事変ですね…」



「貴様も知ってるのか…」



「・・・何か阻止する為の行動は起こすつもりですか?」



「貴様の方こそ…この国を支配するのではなかったのか?」



「…確かにそれが俺の最終目的であるが…ともかく今は…昇進したい…その為には…軍医としての腕を磨かないとな」






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