東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
二人とすれ違いに通が戻って来た。



「樋川たちと会わなかったか?」



「…当主…貴方方はいったい…何をしようとしてるんですか?」


「…何だ…通…盗み訊きしていたのか…」



「…俺は唯…当主の身が心配で…」



「…通貴様には陸軍の内情を探れと言っているはずだが…貴様は何も…俺に報告しない…どう言うつもりだ?」



「…俺はスパイのような行為はしたくないだけです」



「…通貴様だけが頼りなのに…」



「・・・貴方が頼りにしているのは樋川様と椎名大佐だけです。俺は貴方に不必要な人間でしょ?」



「通!!?」



「…貴方が代わりに二人のお相手をしてください…」





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