東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
* * *


「大変だぁーっ!!?帝居内に暴漢が侵入したらしい」


「暴漢!!?」



小笠原中将の切羽詰った声音が響き渡る。



「一人が…庁内に逃げ込んだらしい…『警備庁』から探せとのご命令だ…」



全く危機感のない怠けた雰囲気の室内に緊張が走る。


小笠原中将の命令など訊き入れず…幻聴であるかのように呆然と訊いていた。


「たくっ…腑抜けた連中だな…」


俺は呆れてそれ以上何も言えない。


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