東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
父上が贔屓にしていた赤坂の花柳『梁山郭』



しかし、密な話が出来ないので芸鼓は話の後で呼び込む事にした。



「…貴様が天使の禁断の魔方陣を使い…秘薬を作って…死んだ人間を甦られてる事は分かってる」



「…それは全て…椿さんを生かす為だ…」



「…椿を生かす?」



「…そうだ」


栗原中尉はキッパリと言い切って、盃の酒を飲み干す。



「…この国を支配する野望は捨てたのか?」



「…椿さんは来世…俺の娘となる…でも、来世よりも今世…椿さんに幸せでいて欲しいと思うようになった」



「何故だ?貴様も椿の事を…」


「誤解するな…俺は別に父親として娘を幸せにしてやりたいだけだ」


「栗原中尉…」








< 276 / 300 >

この作品をシェア

pagetop