東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》

ー征史sideー

あれから11年の年月が流れた…


昭和16年(1941)年12月8日。

真珠湾攻撃を皮切りに大東亜戦争が始まった。


戦争を阻止すると未来に戻った樋川に宣言しておきながら、何一つ…変わらなかった。



変わったと言えば…ガダルカナルの戦いで死ぬはずだった俺が生きていた。



椿との間には響生の後…二人の娘に恵まれ、幸せに暮らしていた。



「…清史さん…貴方…?」


父を亡くし未亡人となった定子さん。

今も屋敷で一緒に暮らしていた。


当初は椿に対して冷たい態度を取っていたが…今は椿の良き相談相手として俺も妬ける位の仲の良さだ…







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