東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
「中尉殿が膝の上に乗れと…」



「!!?」



中尉殿は私の腰を抱き、自分の身体に近づける。



「…吉原に行けばよい…」


吉原…


江戸時代から続く色街だ…



「嫌なら銀座のカフェで女給として働くがいい…最近のカフェは資本豊かな大阪の事業家たちが…吉原に似た事を女給にやらせてるらしい」



「…貴方は妻となる私の身体を売れと言ってるんですか?」



やはり、酷い男だ…



「嫌なら俺に頭を下げろ…」



彼は私の後ろ髪を掴んだ。



「…相談する相手が間違っていました…」



「間違ってなどいない…」


< 41 / 300 >

この作品をシェア

pagetop